エレミヤ1:1-12、エペソ1:10

“主はあなたを母の胎を出る前から選んでいる”  内田耕治師

 

イスラエルは北と南に分裂した。北王国はアッシリヤ帝国に滅ぼされた。その後アッシリヤは衰退、バビロン帝国が台頭。エジプトはアッシリヤの残党とともにバビロンと戦うために北上して南王国の領土を通った。エジプト王は南王国を攻めるつもりはないと言ったにもかかわらず、ヨシヤ王はエジプトの大軍に戦いを挑んで戦死し、南王国はエジプトの言いなりになり独立を失った。その後、カルケミッシュでエジプトが大敗し、バビロンが勢力を拡大すると、南王国は振り子のようにバビロンになびき、やがて滅ぼされる。

ヨシヤがエジプトと戦ったことは失敗だったが、彼は神を愛する良い王だった。当時たくさんあった偶像を彼は排除し、壊れていた神殿を修理し、発見された主の律法の書を読んで心を打たれてすべての人々にそれを読み聞かせ、長い間、ささげられていなかった過越のいけにえをささげた。反対派がたくさんいる中で彼はその信仰とリーダーシップで宗教改革を断行した。そんな時代にエレミヤは預言者として召された。ただし彼はヨシヤ王と何のつながりもなく、あくまで主によって召し出された。

「あなたを母の胎内で形造る前から知り、母の胎を出る前から聖別し、国々への預言者と定めていた」しかしエレミヤは「私はまだ若く、どう語ってよいか分かりません」と逃げ腰だった。けれども、主は「わたしがあなたとともにいて、あなたを救い出す」と伝えて恐れる彼を立ち上がらせた。「神は、世界の基が据えられる前から、この方(キリスト)にあって私たちを選び」私達も生まれる前から主に選ばれていながら人々を恐れて逃げ腰になり証しや伝道がなかなかできないことがある。でも、そんな私達にも「わたしはあなたとともにいる」とみことばは与えられている。

主はエレミヤにどんなことを目指して預言活動をするのかも教えた。「引き抜き、引き倒し、滅ぼし、壊し、建て、また植える」スクラップ&ビルド。古いものを壊して新しいものを建てることが目標だ。古いものとは古い南王国であり、新しいものとは新しいイスラエルである。それは基本的に主のなさることだが、主はバビロン帝国を道具として用いて古い南王国を壊す。こういうことは長い歴史でたびたび起こる。思い上がって無謀な戦争を始めた日本はアメリカに敗北した。主が古い日本を壊すためにアメリカを道具として用いたのである。原爆はやり過ぎだが。

国や民族だけでなく、私達キリスト者も古いものを壊して新しいものを生み出す営みをしている。バプテスマが表すように私達は古い自分が死んでキリストとともに新しい歩みをしている。新しい歩みは、たった1人でするのではない。「一切のものがキリストにあって、1つに集められる」私達には仲間がいる。それは教会だ。教会はキリストにあって集まるのであり、地縁や血縁は関係がないし、成績や評判とも関係がない。もしそういうこの世の価値観が支配すると教会は上手く行かない。教会を建てるとはそういう価値観を捨ててあくまで同じ主にある兄弟姉妹であることを目指す。だから、それは古いものを壊して新しいものを建てる営みである。