士師記16:1-31
“最後まで諦めないで戦おう” 内田耕治師
13章でサムソンは主の使いが母と父マノアに伝えた通りに生まれる前からイスラエルをペリシテ人の圧迫から救い出す者であり、そのために母の胎内にいる時から強い酒や汚れた物を避け、頭にカミソリを当ててはならないナジル人に定められていた。サムソンは生まれて大きくなると物凄い力持ちになった。14章でサムソンはペリシテ人の娘を好きになり妻に迎えたいと言い出した。初め両親は反対したが、それは主がペリシテ人と事を起こす機会を求めてそうなったのである。サムソンが1週間も続く婚礼でペリシテ人にした謎かけがキッカケでトラブルが起こり、その結果、彼女と一緒になれず、ペリシテ人と対立し、やがて戦いにつながった。
15章では当時イスラエル人はペリシテ人を恐れていたのでサムソンはたった1人で戦いに挑み、ロバの顎骨で1000人のペリシテ人を打ち殺し、20年間イスラエルをさばいた。16章はペリシテ人との最後の戦いだ。サムソンはデリラとの恋に落ちた。けれどもデリラはペリシテ人からお金をもらってサムソンの強さの秘密を探り、陥れようとする工作員だった。しかし彼女が聞いても彼は嘘を言ったのでペリシテ人は彼を捕まえることができなかった。それでデリラが執拗にせがみ責め立てると、彼は辛くなり、ついに彼の力がカミソリを当てたことがない髪の毛にあることを明かした。デリラはサムソンが寝ている間に髪を切り、怪力を失った彼はペリシテ人に捕らえられ、両目を潰され、牢で臼を引く身にされた。でも、しばらくして髪が伸び、怪力が戻り、神殿に見せ物として引き出されたとき、彼は最後の大勝負に出た。
神はそのご計画を成し遂げるためにサムソンの強さだけでなく弱さも用いた。情欲のままに突っ走ること、幼児のように乱暴を働くこと、生意気でナジル人の戒めを軽く考えること、婚礼に来た人々を面白半分で謎かけをしてからかうことなどなど、お世辞にも出来た人物とは言えない。けれども、それらがペリシテ人と戦うという神のご計画を進めた。女性にせがまれると嫌と言えず騙されやすい弱さもあった。だからデリラに騙され、怪力を失い、ペリシテ人に捕らえられ盲目とされた。けれども、そうされたからこそ最終の大勝負に出ることができた。
神は最後まで弱さを抱えた者を見捨てず用いて下さる。サムソンは盲目にされ牢にいれられたとき、さすがの彼もすっかり自信を失い、文字通り目の前が真っ暗になっただろう。けれども神はその状況でこそできる最後の大勝負のアイデアを与えた。それが神殿を倒壊させることでペリシテ人を自分の道連れにして殺すことだ。彼はデリラに会う前、ガザで遊女の家にいた時、真夜中に来た敵を蹴散らし、町の2本の門柱を引き抜いて山に運んだことがあった。見せ物として神殿に引き出されたとき、神殿にもそれを支える柱があることに気づき、前に柱を引き抜いた記憶がよみがえり、この柱を何とかすれば神殿を倒壊させることができると示され、2つの柱に手をかけて「ああ神よ、どうか、もう1度だけ私を強めてください」と祈り、柱を押し広げるとその通りになった。神は最後までサムソンを見捨てずご計画のために用い、またサムソンも最後まで諦めなかった。だから彼は生きている時よりもたくさん殺して最後の勝利を得ることができた。主は弱さを抱える私達も最後まで見捨てずご計画のために用いて下さる。そう信じて最後まで諦めないで戦おう。