マタイ11:7-19、1コリント1:24

“激しく攻められる天の御国”  内田耕治師

 

イエスキリストが世に現れた頃は、旧約時代から新約時代に移り変わる時だった。イエス様を初めて世に紹介したヨハネは後で「おいでになるはずの方はあなたですか。それともイエス様に躓(つまず)いた。イエス様はヨハネの紹介によってキリストとして活動を始めたが、ヨハネが考えていたキリストとイエス様とはかなり違うことが見えて来た。その違いが現れるのは避けられないが、この際ヨハネと自分との関係をキチンと説明し整理する必要があり、イエス様はまずヨハネについて語った。

「女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネより偉大な者は現れなかった」ヨハネは最大の預言者であり、「彼は、あなたの前にあなたの道を備える」キリストのために道を備えた者であり、イエス様を“この方こそキリストだ”と紹介した者である。「この人こそが来るべきエリヤなのです」エリヤは列王記第二で竜巻に乗って天に帰った預言者であり、マラキ書には預言者エリヤが再び来るという預言がある。だからこのヨハネこそが偉大なエリヤである。

「すべての預言者たちと律法が預言したのは、ヨハネの時まででした」預言者達と律法は旧約聖書のこと。神のさばきを語ったヨハネは旧約聖書に属する預言者であり、天の御国を語ったイエス様は新約時代に属する救い主である。旧約時代は終わり、新約時代が始まっていたからヨハネはいわば役目を終えた預言者である。

「天の御国で1番小さい者でさえヨハネよりも偉大です。」ヨハネは偉大な預言者だったが、語ったことは神のさばきだけであり、天の御国は何も語らなかったし知らなかったかもしれない。けれども、悔い改めて天の御国に入った人達は、だれであろうと少なくとも天の御国を知っているし信じている。だから天の御国で一番小さい者でさえ彼よりも偉大である。「バプテスマのヨハネの日から今に至るまで、天の御国は激しく攻められています」実はヨハネが活動を始めたとき以来、新しい時代はすでに始まり、天の御国の門は開かれていた。

「激しく攻める者たちがそれを奪い取っています」イエス様は激しいほど熱心に天の御国を求めなさいと勧めた。けれども、イエス様がそう勧めたのとは裏腹に人々はヨハネに対してもイエス様に対しても冷淡だった。「笛を吹いてあげたのに、君たちは踊らなかった。弔いの歌を歌ってあげたのに、胸をたたいて悲しまなかった」イエス様のガッカリした気持ちが現れているが、人々の冷淡さは今の私達も日々感じている。

「知恵が正しいことはその行いが証明します」「知恵」とは人間の知恵ではなく神の知恵である。神の知恵の正しさを証明する「その行い」とは神のみわざであるが、それは人間を罪から救う主の十字架のみわざである。そのみわざを信じるなら救い、信じないなら滅びである。やがてイエス様に対して冷淡ではいられなくなる時が訪れる。だからこそイエス様は“今のうちに天の御国を激しく攻めてそこに入りなさい”と勧めた。その思いは今の私達も同じである。冷淡で無関心な人達も見捨てないでみことばを伝えて行こう。